金曜の夜。その日、会社から帰宅した私は、ビールを飲みながらテレビを見ていた。ほぼ下着のような姿でソファの上でにあぐらをかき、ビールと柿ピーついばみながらテレビを観ていた。今思うとかなり。なかなか凄い絵面だ。麻由美という可愛い名前とは裏腹にかなり男っぽい性格だ。と周りからは言われる。自分でもそう思う。
金曜の夜。明日はフリーなので早起きをする必要もない。ビバ金曜日。余裕に溢れた暇な時間ほど愛おしいものはない。私は少し酔いながら、それはもう幸せな時間を過ごしていた。
前述した通り、私は霊感が強い。怖い体験(私には怖くも何ともないのだけれど)もかなりの数を経験してきた上級者だ。なので、何かが『起こる』ときというのは、妙にざわざわと胸騒ぎがする。その時も、柿ピーをつまみにビールを愛でながらも、心のどこかで嫌な予感はしていた。気がする。
ブーン。ブーン。
携帯が震える。誰だろうか、こんな時間に電話なんて。時計を観ると十一時三十分。仕事の電話だろうか...。テレビの音量を下げて長年愛用しているボロボロのガラケーを開く。
非通知。
嫌な予感がする。胸騒ぎというか、違和感というか。その違和感が何なのかわからないけれど、とにかくその時、その電話には出たくないと、強く思った。しばらく出るか出まいかと問答をしていると、バイブレーションが止まってしまった。
(誰だったのだろう)
と不思議に思いながらも、緊急の連絡だとしたらもう一度掛かってくるはずだ。その時は出よう。
という結論に至って、テレビの音量を戻そうとリモコンに手を伸ばした時
ブーン。ブーン。
また、携帯が震えだした。手に取り、開く。また非通知だ。続けて二度。ということは、何か緊急の連絡なのかもしれない。アルコールで頭はほわほわとしているけれど、念のため仕事モードに切り替えよう。ゆっくり息を吸い、同じだけの時間をかけて吐く。そして通話ボタンを押した。
「はい。佐伯です」
「.....」
返事がない。ただの屍のy (ry。私はもう一度話しかけた。
「佐伯です。どちら様でしょうか?」
「.....」
いたずら電話だろうか?こんな時間に迷惑な話だ。諦めて電話を切ろうと、通話終了のボタンを押そうとした。その時だった。
「私メリーさん。今ゴミ捨て場にいるの」
とはっきりとした口調で、相手は言った。