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ふくろうの筆箱

不思議・妖怪・幽霊系の短編小説

『私メリーさん。今あなたの後ろn (ry) 』


霊感があるというのは、どうにも不便だ。例えばこんなことがあった。夜道を歩いている時、不意に気配を感じて振り返る。そこには血まみれの老婆が...。こういう体験をした場合、普通だったら


A . 叫んで走って逃げる。 
B . 気絶する。


などのリアクションが正しいのだろう。でも、私はいかんせん、そういう体験に慣れてしまっている。子どもの頃からの霊感体質&霊媒体質なのだ。血だらけの老婆なんて、不謹慎ながら見慣れている。だがしかし、その老婆は私が怖がって何かしらのリアクションをすると思ってそういう行為に出ているのだ。つまりどうなるか。私の場合、振り返って血まみれの老婆がいたとしても

(あ、幽霊だ。うわ怖っ。)

で終わってしまうのだ。その老婆は私を怖がらせようとしているだけで私に直接的な用事はないので、驚かない私に、逆に驚いていた。


そして謎の時間が訪れる。


私はその老婆と見つめ合ったまま、動かない。そして老婆も私の予想外のリアクションに、ただただ呆然と立ち尽くしていた。そして

「あの...こんばんは」

私はそのあまりにシュールな時間に耐えきれずに、ごくフツーの挨拶をする。

「...えっと、こんばんは」

老婆も挨拶を返してくれた。わーい。
...完。

そして軽い会釈とともに踵を返すと、再び帰路についた。だって怖くないんだもん。慣れてるし。そしてその後は決まって、訳の分からない罪悪感に陥る。怖がらせたかったのなら、怖がってあげればよかったのだろうか。いや、でも怖くないものは怖くない。とっさに怖がる演技をするような器用さもない。それほどに私は、優麗に慣れてしまっている。


これはそんな私が体験した。ある意味『怖い話』である。


続き 『私メリーさん、今あなたの後ろn(ry) 2』




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