夕陽の中にあなたがいる 短編 2013年07月25日 人を待つ時間というのは、なかなか暇なものだ。だが、その相手が恋しい相手だとしたら、その時間の持つ意味は少し変わってくる。退屈なはずの時間でさえ、もうすぐその人に会えると思うと愛おしく思えたりもする。私は駅の改札の前で彼女を待っていた。電車が到着するたびに、改札の向こうをきょろきょろと見てしまう私は端から見たら、情けなく映るのだろうか。時刻は夕刻、窓の外には美しい夕陽が明日に向かって歩いていた。 もう少しで、彼女が到着するはずだ。私は揚々とそれを待つ。きっとこの幸せな時間は何年も後に思い出すのだ。その時に隣にいるのは、誰なのだろうか。私は夕陽の中に問いかけてみた。 ツイート ←1クリックご協力お願いします!PR