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ふくろうの筆箱

不思議・妖怪・幽霊系の短編小説

夕陽の中にあなたがいる

人を待つ時間というのは、なかなか暇なものだ。
だが、その相手が恋しい相手だとしたら、その時間の持つ意味は少し変わってくる。
退屈なはずの時間でさえ、もうすぐその人に会えると思うと
愛おしく思えたりもする。



私は駅の改札の前で彼女を待っていた。
電車が到着するたびに、改札の向こうをきょろきょろと見てしまう私は
端から見たら、情けなく映るのだろうか。

時刻は夕刻、窓の外には美しい夕陽が明日に向かって歩いていた。





もう少しで、彼女が到着するはずだ。私は揚々とそれを待つ。
きっとこの幸せな時間は何年も後に思い出すのだ。

その時に隣にいるのは、誰なのだろうか。
私は夕陽の中に問いかけてみた。


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