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ふくろうの筆箱

不思議・妖怪・幽霊系の短編小説

森と綿菓子

綺麗な青空に誘われて、カメラを持って外に出た。
深く濃い青色のキャンバスに、綿菓子を千切って撒いたかのような散れ散れとした雲が浮かんでいた。
その雲はゆっくりゆっくり、森の向こうへ飛んで行く。
私もその後ろ姿を追い、森へと足を進めた。
森の向こうの空は赤く染まり、人々に日暮れを告げていた。
青と赤のコントラストに、まばらな薄い雲。
私はカメラのレンズを覗き、シャッターを切る。
森の木々は思ったよりも暗く写った。
だが、それが空の青と夕焼けをより美しくしているようにも見えた。
一日の終わりに向けて動く空の流れ。夕陽に吸い込まれて行く雲の動き。
私はその、美しくどこかノスタルジックな光景に魅せられ
時間を忘れてシャッターを切り続けた。

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